神崎課長が私の体を引き寄せ、倒れないように支えてくれていた。
距離の近さに驚いて、体が硬直する。
「す、すみませんっ」
冷血漢な彼のことだから、『迷惑をかけるな』と怒るに違いない……!
青ざめながら、体を離そうとする。厳しい言葉を覚悟していたけれど、聞こえてきたのは静かな声だった。
「無理に動くな」
「え……」
課長は淡々とした表情のまま、私をイスに座らせてくれた。
「顔色が悪いな。救急車は必要か?」
「い、いえ。大丈夫です」
「本当に?」
「本当です」
確認するように顔をのぞきこまれる。
「今日はもう帰れ。タクシーを呼ぶ」
その言葉に、「タ、タクシーなんて必要ないです」と慌てて首を横に振った。
「具合が悪いんだろう?」
「こんなことのためにタクシーを使うのはもったいないですし、電車で帰れますから」
必死に断わる私を見て、課長は息を吐き出した。その表情はあきれているように見えた。
神崎課長は高木フーズに来る前は、大手法律事務所で弁護士をしていたと聞いたことがある。数年前にうちの会社に転職し、あっという間に課長になったほどの有能な人。
距離の近さに驚いて、体が硬直する。
「す、すみませんっ」
冷血漢な彼のことだから、『迷惑をかけるな』と怒るに違いない……!
青ざめながら、体を離そうとする。厳しい言葉を覚悟していたけれど、聞こえてきたのは静かな声だった。
「無理に動くな」
「え……」
課長は淡々とした表情のまま、私をイスに座らせてくれた。
「顔色が悪いな。救急車は必要か?」
「い、いえ。大丈夫です」
「本当に?」
「本当です」
確認するように顔をのぞきこまれる。
「今日はもう帰れ。タクシーを呼ぶ」
その言葉に、「タ、タクシーなんて必要ないです」と慌てて首を横に振った。
「具合が悪いんだろう?」
「こんなことのためにタクシーを使うのはもったいないですし、電車で帰れますから」
必死に断わる私を見て、課長は息を吐き出した。その表情はあきれているように見えた。
神崎課長は高木フーズに来る前は、大手法律事務所で弁護士をしていたと聞いたことがある。数年前にうちの会社に転職し、あっという間に課長になったほどの有能な人。



