バツイチだけど恋をしてもいいですか

 買い物を終え店を出ようとすると、課長がそう言ってくれた。

「大丈夫ですよ。すぐ近くですし」

 遠慮しようとする私を「断わらないでくれ」と見つめる。

「少しでも一緒にいるための口実なんだから」

 そんなふうに言われると、リアクションに困ってしまう。

「さんにんで、おててつないでかえりたい!」

 はしゃぐ花音を真ん中にして、手をつないで歩く。

 足もとに落ちる三つの影を見て、家族みたいだなと思った。

 穏やかで温かい時間を愛おしく感じながらも、このまま彼に甘え続けていいんだろうかという不安も込み上げる。

 私は女である前に、花音の母親だ。自分の幸せよりも、花音の幸せを優先する義務がある。

 神崎課長も今は好きと言ってくれているけれど、子ども中心の生活を送る私に、愛想をつかすかもしれない。課長みたいな素敵な人が、バツイチシングルマザーの私を好きになるなんて、ただの気の迷いかもしれない。

 それに、一度結婚に失敗した私が、もう一度恋をするなんて……。

 そんなことを考えているうちに、アパートの前に到着した。

「あっという間についたな」