バツイチだけど恋をしてもいいですか

『わざとじゃないんだから、そんなに怒らなくてもいいじゃないですか……っ!』

 私はごく普通にミスを指摘したつもりだったのに、西野さんはそう言ってみんなの前で涙をこぼした。

『いつも睨まれてこわかった』『挨拶をしても無視された』『意地悪なことをいっぱいされた』

 身に覚えのないことを泣きながら訴えられ驚いていると、当時夫だった駿介は、私の話を一切聞かず、西野さんを庇った。

『お前、後輩をいびるなんて最低だな』

 西野さんの肩を抱きながら、吐き捨てるようにそう言った。

 夫婦なのに信じてもらえないことがショックだった。そしてその日から、職場の空気が変わり、同僚たちの態度がどこかよそよそしくなった。

 そんな苦い記憶がよみがえる。

 中村さんから今のやりとりを聞いたら、神崎課長はどう思うだろう。

 あの時私から距離を置いた同僚たちのように、課長も私に失望し、不信感を抱くかもしれない。

 冷たい不安が押し寄せ苦しくなる。

 課長には嫌われたくない……そう心の中でつぶやいた。





 その日は一日、沈んだ気分で仕事をした。