バツイチだけど恋をしてもいいですか

 花音が読み上げ始めたけれど、ふたりで一冊の絵本をのぞきこむのは少し窮屈だったようだ。

「膝に座ったほうが読みやすいんじゃないか」

 課長の提案に、花音が「いいのっ?」と顔を輝かせる。

「あぁ」

 花音は絵本を持つと、課長の膝にちょこんと座った。そして「えへへ」とはにかみながら笑う。

 駿介はこんなふうに花音を膝に抱いたりしなかったから、うれしくて照れくさいんだろう。

 長身の課長の膝に、小さな花音が座っている。まるで親子のような微笑ましい光景に、胸がぎゅっと締め付けられた。

 お皿を洗い終えると、それまではしゃいでいた花音が、課長の膝の上ですやすやと寝息を立てていた。

「すみません……っ」

 課長は花音を見下ろしながら「大丈夫だ」と首を横に振る。寝室にしている和室に布団を敷き、花音を運んでもらう。

「子どもって電池が切れるみたいに寝るんだな」
「課長がいると楽しくて、いつも以上にはしゃいじゃうみたいです」

 幸せそうな寝顔を見下ろしながら、小声でそう言い笑い合う。そして、部屋が静かなことに気付いた。