バツイチだけど恋をしてもいいですか

 そんなことを考え思い描いた未来には、私たち母娘を見守る神崎課長の姿もあった。無意識にそんな未来を想像してしまった自分に驚き、思い切り動揺して咳き込む。

「中里、大丈夫か?」

 神崎課長が心配して、背中をさすってくれた。

「だ、大丈夫です……っ!」

 その大きな手のひらに、さらに鼓動が速くなった。





 ポテトサラダもオニオンスープも、そして花音がケチャップでうさぎを描いたオムライスも、神崎課長は綺麗に平らげてくれた。

「ごちそうさま。本当においしかった」

 そのひと言がうれしくて、胸の奥がじんわりと温かくなる。

「よかったです。お口に合うか心配だったので」
「皿は俺が洗う」
「いいですよ。今日は迷惑をかけたお詫びなんですから。コーヒーを淹れるので、座っててください」

 そう言うと、花音が絵本を持ってやってきた。

「かんざきさん、えほんすき?」
「あぁ。嫌いではない」

 最近ひらがなを読めるようになった花音は、「じゃあ、よんであげる」と得意顔で言って開いた絵本を床に置く。

「むかし、むかし、あるところに――」