バツイチだけど恋をしてもいいですか

 黄色の玉子の上には、課長の几帳面さを表すように、『オムライス』という五つのカタカナが等間隔に並んでいた。

「本当は違う言葉を書きたかったが、我慢した」

 まっすぐな視線を向けられ、笑いが止まる。私が黙り込むと、花音が首をかしげた。

「ちがうことばって、なぁに?」

 花音の純粋な問いかけに、ドキッと心臓が跳ねる。課長が答えを口にする前に、私は慌てて話題を変える。

「それにしても、ケチャップなのに、字が綺麗ですね!」
「そうか?」
「はい。丁寧で乱れがなくて……」

 その文字を見下ろした私は、あることに気付いて顔を上げる。

「おじいさんが掲示板のお返事を書く字に、そっくりです」

 私がそう言うと、課長の肩がぴくりと揺れた。

「し、親族だから、筆跡も自然と似るんだろう」
「そういうものなんですか?」
「あぁ。たぶん」
「じゃあ、花音も私に似た字を書くようになるのかな」

 そんなことをつぶやきながら、すらすら字を書けるくらい成長した花音の姿を思い浮かべる。

 五年後も、十年後も、こうやって笑い合っていられたらいいのにな……。