バツイチだけど恋をしてもいいですか

「でも、うちは狭くて古いアパートだし、物がたくさんあるし、あちこちシールが貼ってあるし、生活感満載すぎて驚きますよ」
「そう言われると、余計に行きたくなる」

 頑として譲らない課長に「もの好きすぎる……」とつぶやく。

 雑然とした我が家を見たら、課長は幻滅するに違いない。そう思ったけれど、それはむしろ好都合かもと考え直す。

 シングルマザーの現実を見れば、私への好意はただの気の迷いだったと気付くに違いない。

「うちに来るのはいいとしても、おもてなし料理なんて作れませんよ」
「できれば君の得意料理や、花音ちゃんの好物がいい」
「だとしたら……オムライスとか?」

 私の言葉に、課長が「いいな」と表情を明るくした。

「念のため言っておきますけど、おしゃれなオムライスじゃないですからね。いつもおうちで食べてるのは、昔ながらの普通のやつです」
「ケチャップで文字を書くような?」
「はい」

 私がうなずくと、課長が頬を緩める。

「それがいい。楽しみにしてる」

 うれしそうに言われ、また落ち着かない気持ちになった。