バツイチだけど恋をしてもいいですか

 課長の告白を断われば、彼との交流はなくなってしまうだろう。課長と一緒に過ごした時間を思い出すと、胸のあたりが締め付けられる。

 ぎゅっと手のひらを握りしめた時、背後から名前を呼ばれた。

「中里」

 聞き慣れた低い声に慌てて振り返ると、神崎課長が立っていた。

「確認するが、本当にもう体調は大丈夫なのか」
「だ、大丈夫です……っ」

 朝も話をしたのに、私が本当に無理をしていないか確認しにきてくれたんだろうか。昼休みの時間に、私を心配してわざわざ。

 平静を装おうとしているのに、視線が落ち着きなく泳いでしまう。そんな私の様子に、課長は小さく息を吐き出す。

「一昨日は、変なことを言って悪かった」
「え……?」
「俺から好意を寄せられるのが迷惑なら、そう言ってくれて構わない」

 その言葉に、慌てて顔を上げて課長を見た。

「迷惑ではないです……っ!」

 考えるよりも早く、私は首を横に振っていた。

「本当に?」

 自分の言動に驚きながら「ほ、本当です」とうなずく。

「よかった」

 ひとりごとのようなつぶやき。

 なにげないひと言なのに、心臓がぎゅっと締め付けられた。