しっかり休めたこともあって翌日には熱は引いたけれど、大事を取ってお休みをもらい、その次の日に出社した。
フロアに入ると、渡辺さんたちが気付いて声をかけてくれた。
「中里さん、もう大丈夫なの?」
「はい。ご迷惑をおかけして本当にすみませんでした」
深く頭を下げると、渡辺さんは首を横に振る。
「謝らないで。具合が悪いのに、無理して働いていたんでしょ?」
「そうそう。急に倒れてびっくりしたんだから」
「ちゃんと休めてよかったわ」
温かい言葉をかけられ、「ありがとうございます」ともう一度頭を下げる。
そして顔を上げると、神崎課長と目が合った。少し緊張しながら、彼のデスクへと向かう。
「神崎課長。一昨日は申し訳ありませんでした」
「もう大丈夫なのか」
「はい。一日しっかり休ませてもらったので、もうすっかり」
「そうか。よかった」
そう言いながら、課長がわずかに目もとを緩めた。その視線がいつもより柔らかくて、思わずドキッとしてしまう。
動揺を隠し「失礼します」と自分の席に戻ったけれど、鼓動は速いままだった。



