バツイチだけど恋をしてもいいですか

「好きなだけ、泣いていい」

 その低い声には優しさが込められていて、涙腺がさらに緩んでしまう。

 私がしっかりしなきゃ、花音を守れない。どんなに忙しくても、具合が悪くても、花音の前では平気なフリをしなきゃ……。

 今までずっと、そう自分に言い聞かせて必死に頑張ってきた。それなのに、私の弱さや不安まで包み込んでくれるような優しさに、胸がいっぱいになる。

 課長は私が泣き止むまで、ずっと見守っていてくれた。

 ようやく気持ちが落ち着き息を吐き出す。

「……すみません。お見苦しいところをお見せして」

 目もとを拭いながら謝ると、課長は「謝るのは俺のほうだ」と頭を下げた。

「中里が体調を崩したのは、昨日水族館に行ったせいだろ」
「え……?」
「毎日仕事と育児で疲れているのに、せっかくの休みに一日中連れ回してしまった。俺の配慮が足りなかった」

 神妙な顔で謝罪され、慌てて首を横に振る。

「そ、そんなことないです! 私が熱を出したのは、自業自得というか……」
「自業自得?」
「昨日、花音を寝かしつけたあと、洗った髪を乾かしもせず、写真を見返していたんです」