バツイチだけど恋をしてもいいですか


 その言葉に目を瞬かせる。

 課長は花音が通う保育園の名前も場所も知らないはずじゃ……。

 戸惑いながら神崎課長を見上げた時、パタパタと元気な足音が近づいてきた。

「ママ!」

 引き戸が開き、花音が飛び込んでくる。その後ろには、おじいさんの姿もあった。

「花音!」
「だいじょうぶ? おねつさがった?」

 私の心配をしてくれる花音の優しさに、胸がじわりと熱くなる。

「花音。お迎え行けなくてごめんね……。大丈夫だった?」
「うん。きょうね、れんくんと、れんくんのママといっしょにかえってきたの」
「蓮くんのママと?」
「大吾に事情を話して、協力してもらったんだ」
「そうだったんですね……」

 笑顔の花音を見て、安堵が込み上げる。

 それと同時に、倒れてしまった自分が情けなくなった。

「課長にも、中村さん家族にも、おじいさんにも迷惑をかけてしまって……。本当にすみませんでした」

 自己嫌悪に襲われながら深く頭を下げると、課長は首を横に振った。

「迷惑なんかじゃない」
「え……?」