バツイチだけど恋をしてもいいですか

 まだぼんやりしている私に、課長が淡々とした口調で説明してくれた。

「意識が朦朧としている君を、ひとり暮らしの俺の部屋に同意なく連れ込むのは問題がある。かといって、中里の自宅に勝手に上がり込むわけにもいかない。だから、ここが一番妥当だろうと考えた」

 こんな時でも誠実で的確な判断をしてくれる課長に、さすがだなとため息を吐き出す。

「ありがとうございます」

 お礼を言ってから、ふと窓の外に目を向ける。空はもう暗く、街灯が灯っているのが見えた。

 そのことに気付いた瞬間、さぁっと血の気が引いた。

「い、今、何時ですか……っ!?」

 慌ててそう言い、体を起こす。

「花音のお迎えに行かなきゃ……!」

 急に動いたせいで、くらりとめまいがした。それでも行かなきゃと立ち上がろうとする。

 取り乱す私を引き止めるように、神崎課長が私の肩を抱いた。

「大丈夫だ。落ち着け」
「で、でも……っ」

 なんの連絡もせず、こんな時間まで花音を待たせてしまったなんて。きっと不安でさみしい思いをしてる。早く迎えにいってあげなきゃ……!

「ちゃんと迎えにいってきた。安心しろ」
「え……?」