「お前が離婚したいって言うから離婚してやって、お前が花音と暮らしたいって言うから暮らさせてやってるんだぞ? その上、噂を否定しろって、どんだけわがままなんだよ。少しは感謝しろよ」
彼はそう言い捨てると、私に背を向け歩いていく。
その後ろ姿を眺めながら、わがままなのはどっちよ!と怒鳴りそうになった。けれど、喉まで出かかった言葉を必死に飲み込む。
私にとって一番大事なのは、花音の幸せだ。
花音との暮らしを守るためなら、他人になにを言われたっていい。気持ちを落ち着かせるために、そう自分に言い聞かせた。
私が勤めているのは、健康食品やサプリメントの製造販売をしている『高木フーズ』という会社だ。創業四十年、本社や支社、自社工場を合わせた社員数は二百名ほどという中堅企業。
三カ月前までは駿介と同じ営業で営業事務をしていたけれど、離婚するタイミングで法務部に異動になった。今は法務事務の勉強をしながら、アシスタント業務をしている。
その日の午後。仕事をしていると、渡辺さんが近づいてきた。
「中里さん。これ、今日中にデータ入力お願いね」
彼はそう言い捨てると、私に背を向け歩いていく。
その後ろ姿を眺めながら、わがままなのはどっちよ!と怒鳴りそうになった。けれど、喉まで出かかった言葉を必死に飲み込む。
私にとって一番大事なのは、花音の幸せだ。
花音との暮らしを守るためなら、他人になにを言われたっていい。気持ちを落ち着かせるために、そう自分に言い聞かせた。
私が勤めているのは、健康食品やサプリメントの製造販売をしている『高木フーズ』という会社だ。創業四十年、本社や支社、自社工場を合わせた社員数は二百名ほどという中堅企業。
三カ月前までは駿介と同じ営業で営業事務をしていたけれど、離婚するタイミングで法務部に異動になった。今は法務事務の勉強をしながら、アシスタント業務をしている。
その日の午後。仕事をしていると、渡辺さんが近づいてきた。
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