バツイチだけど恋をしてもいいですか

 そんな言い訳を並べる俺を、大吾がじっと見つめる。

「じゃあ、もし中里さんがほかの男とくっついたり、沢辺とよりを戻しでもしたら、お前はどう思う?」
「それは……」

 想像しただけで、胸の奥がざわりと波打った。

 もしも中里の隣に、俺以外の誰かがいたら。幸せそうな笑顔を、ほかの男に向けられたら……。

 激しい嫉妬と焦燥感に襲われ、「嫌だ」と短く本音がもれた。そんな俺を見て、大吾が笑う。

「ほら。それ、独占欲じゃん。お前は彼女に惹かれてるんだよ」

 はっきりと言い切られ、つかえていたものがすとんと落ちた気がした。

 今まで感じていた説明のつかない感情に、名前がついた瞬間だった。

「……俺は中里に惹かれているのか」

 三十七年間生きてきて、恋人ができたことは何度かあった。

 けれど、そのどれも相手から言い寄られ、断わる理由やデメリットがないからうなずいただけで、自分から好意を抱いたことはなかった。