バツイチだけど恋をしてもいいですか

 俺がそう説明すると、大吾は「そっか」と大きく息を吐き出した。

「なんか亘一、変わったな」
「変わった? 俺が?」
「あぁ。前のお前ならどんな事情があろうと、不正は許さなかったし、強引にでも正義を貫こうとしただろ」

 その言葉に黙り込む。

 確かに、弁護士をしていた頃の俺なら、中里の事情や気持ちよりも、沢辺の嘘を暴くことを優先しただろう。

 自分の変化に戸惑っていると「で」と大吾が俺を見た。

「昨日はその後、どうだった?」
「どうだったとは?」
「帰りの車の中で、手くらい握ったか?」
「握るわけないだろ」

 真顔で即答すると、大吾はあきれたようにため息をつく。

「あー、もう。ほんとじれったいな」
「じれったいって、なにがだ」
「好きなんだろ。中里さんのこと」

 その問いかけに、言葉に詰まる。

「なに言ってるんだ。好きとか、そういうんじゃ……」

 俺はたまたま中里の悩みを知ってしまい、成り行きで気にかけるようになっただけだ。

 つらい状況でけなげに頑張る母娘に、なにかしてあげたいと思うのは当然のことで、それ以上の意味なんて……。