九月も半ばを過ぎ、日没が早くなって助かった。車内はすでに薄暗く、この動揺が中里に悟られることはないだろう。
エンジンをかけ、発進させる。静かな走行音が車内に響く。
「神崎課長。今日は本当にありがとうございました」
車を走らせていると、中里がぽつりとそう言った。
「花音のあんな楽しそうな顔、ひさしぶりに見ました」
「そうなのか?」
「離婚してからは遠出する余裕なんてありませんでしたし、結婚していた頃も……」
そう言いかけ、口を閉ざす。
「沢辺は、子どものために遠出したりはしなかったんだな」
俺が彼女の言葉の続きを言い当てると、中里は静かに笑った。
「はい。平日は仕事で疲れているんだから、休みの日くらいゆっくりさせろって」
「中里は働きながら、家事も育児もこなしていたのにか」
「外回りが多い営業の駿介と、デスクワークの私とじゃ、疲労の度合いが違うのでしょうがないですよね」
そう言って沢辺を庇う中里に、わずかな嫉妬が芽生える。
俺にその資格があるなら、ふたりを笑顔にするために、なんだってしてやるのに。
エンジンをかけ、発進させる。静かな走行音が車内に響く。
「神崎課長。今日は本当にありがとうございました」
車を走らせていると、中里がぽつりとそう言った。
「花音のあんな楽しそうな顔、ひさしぶりに見ました」
「そうなのか?」
「離婚してからは遠出する余裕なんてありませんでしたし、結婚していた頃も……」
そう言いかけ、口を閉ざす。
「沢辺は、子どものために遠出したりはしなかったんだな」
俺が彼女の言葉の続きを言い当てると、中里は静かに笑った。
「はい。平日は仕事で疲れているんだから、休みの日くらいゆっくりさせろって」
「中里は働きながら、家事も育児もこなしていたのにか」
「外回りが多い営業の駿介と、デスクワークの私とじゃ、疲労の度合いが違うのでしょうがないですよね」
そう言って沢辺を庇う中里に、わずかな嫉妬が芽生える。
俺にその資格があるなら、ふたりを笑顔にするために、なんだってしてやるのに。



