バツイチだけど恋をしてもいいですか

 腕の中に納まった花音ちゃんは、俺の肩に顔を預けすやすやと寝息を立て始めた。その安心しきった様子に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

 今まで俺は、子どもに対して無関心だった。なにを考えているかわからない厄介な存在で、できることなら関わりたくないとさえ思っていたのに……。

 腕の中で無防備に眠る花音ちゃんを見ると、心が温かいもので満たされていく気がした。

 今まで感じたことのない、自分の中に芽生えた父性のような感情に戸惑う。

 中里とともに駐車場に戻り、花音ちゃんをジュニアシートに座らせる。

 よっぽど疲れているのか、花音ちゃんは目を覚ます気配もなかった。イルカのぬいぐるみを抱きしめ、気持ちよさそうに眠り続ける。

 その顔には、幸せそうな表情が浮かんでいた。

「ぐっすりだな」
「はい。あれだけはしゃいでましたから」

 起こさないように小声で言葉を交わしながら、中里が助手席に座る。

 行きは花音ちゃんと並んで後部座席に座っていたから、運転席と助手席の距離の近さに少しだけ緊張してしまう。