バツイチだけど恋をしてもいいですか

 中村さんに促された蓮くんは「わかった」と素直にうなずく。

「かのんちゃん。じゃあねー!」
「うん! バイバイれんくん!」

 小さな手をぶんぶんと振るふたりを見ながら中村さんに会釈をすると、彼は課長に向かって意味ありげなウインクをした。

 口の動きだけで『頑張れ』と言い、親指を立てる。

 そんなエールを送られた課長の眉間には、深いシワが刻まれていた。

 やっぱり中村さんは、私たちの仲を誤解しているようだ。

 中村さんたちの姿を見送りながら、「すみません」と課長に謝る。

「お迎えで蓮くんのお母さんに会った時にでも、ちゃんと説明しておきますから」
「いや。わざわざ否定しなくていい」

 でも、否定しなければ、課長はこれからも中村さんにからかわれてしまうんじゃ……。

「ママ、おなかすいたぁ」

 花音の言葉にはっとして、「じゃあ、お弁当食べようか」と笑顔を作った。





 売店で飲み物を買い、海が見えるウッドデッキに向かった。ずらりと並んだパラソル付きのテーブルとイス。そこに腰を下ろし、トートバッグを肩から下ろした。