バツイチだけど恋をしてもいいですか

 よちよち歩くペンギンを見たり、イルカのショーに歓声を上げたり。あちこち楽しく見て回るうちに、気付けば時間はお昼を過ぎていた。

「おなかすいた!」

 蓮くんの言葉に、「そろそろ昼にするか」と中村さんがうなずく。

「子どもがいるから、レストランよりフードコートのほうがいいか」
「あぁ。キッズメニューもいろいろあったはず」

 中村さんとそんな話をしてから、課長が私に視線を向ける。

「それで大丈夫か?」

 その問いかけに「はい」とうなずこうとすると、花音が私の服を引っ張った。

「ママ、おべんとうは?」

 私は慌てて課長に背を向け、花音の前で人差し指を唇に当てる。

「花音、そのことはいいから……!」

 なんとか誤魔化そうとしたけれど、課長が「お弁当?」と私にたずねる。

「あ、いえ。なんでもなくて」
「ママ、はやおきして、おべんとうつくったんだよ!」

 焦る私をよそに、花音が笑顔で課長を見上げた。

「わざわざ作ってくれたのか?」
「すみません、その……」

 まっすぐな視線を向けられ、語尾がどんどん小さくなる。