バツイチだけど恋をしてもいいですか

「……って、あれ。なんで亘一と中里さんがいんの?」

 そう言ってこちらを見るのは、営業部の中村さんだった。

「え、蓮くんのお父さんって、中村さんだったんですか……?」

 まさかのことに、目を丸くする。

 お母さんとはお迎えの時によく顔を合わせていたけれど、お父さんが中村さんだったなんて、知らなかった。

「へぇ、蓮がよく話してる花音ちゃんって、中里さんの娘さんだったんだ」

 中村さんも、私と花音を見て驚いた顔をする。

「まさか、こんな偶然があるなんて……」

 そうつぶやいてから、はっとした。

 花音と私が一緒にいるところを、中村さんに見られてしまった。しかも蓮くんのお父さんだということは、毎日私が保育園のお迎えをしていることもばれてしまう。

 さあっと血の気が引いた時、大きな手が背中に触れた。

「大丈夫だ」

 耳もとで響いた低い声。驚いて振り返ると、課長が私を見つめていた。

「大吾には俺から話をしておく。あいつは調子はいいが、人の事情を勝手に言いふらすような奴じゃないから、安心していい」

 その静かだけど頼もしい声に、強張った体から力が抜けていく。