バツイチだけど恋をしてもいいですか

「すみません。子育てしていると、どうしても動きやすいラフな格好になってしまって……」
「いや、違う。そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?」

 なにを言いたいのかわからず言葉の続きを待ったけれど、課長はなぜか私から視線をそらしてしまう。

 首をかしげていると、花音が神崎課長の手を引っ張った。

「きょうのママ、かわいいでしょっ?」

 無邪気な言葉に、「か、花音……っ」と慌てて止めようとする。けれど課長は少し間をおいてから、「あぁ」とうなずいた。

「俺も、かわいいと言いたかった」

 真顔で言われ、頬が熱くなった。

 いやいやいや、なにを動揺しているんだ。

 課長は気を使って花音に合わせてくれただけなんだから、真に受けちゃだめだ。

 なんとか気持ちを落ち着かせていると、課長が私の肩に下がった大きなトートバッグに目を向けた。

「持つよ」
「あ、ありがとうございます。でも、自分で持てるので――」

 車まで運ぼうとしたけれど、神崎課長は軽々とトートバッグを持ってしまう。気遣いと頼もしさに、また鼓動が速くなる。

「後部座席でいいか?」