バツイチだけど恋をしてもいいですか

 仕事中の隙のないスーツ姿とは違い、シンプルな黒のニットにダークブラウンのパンツを合わせた、ラフだけど大人の余裕を感じさせる装い。いつもはセットしている髪も、今日は自然に下ろされていた。

 背が高くスタイルがいいから、シンプルなのにものすごく様になっている。

 それに対して私の服装は、白いシャツにベージュのワイドパンツ。足もとはたくさん歩いても疲れない、履き慣れたスニーカー。

 職場ではまとめていることが多い髪を今日は下ろしてみたものの、地味で平凡な自分が情けなくなる。

 せめて美容室に行けばよかった。いや、美容室に行ったところで、大した変化もないんだけど……。

 無意識にそんなことを考えている自分に気付く。

 なに浮かれているんだろう。今日は花音のための水族館なのに。

「おはようございます。あの、今日はよろしくお願いします」

 頭を下げた私に、神崎課長は「あぁ」とうなずき、そのまま黙り込む。

 まっすぐな視線を向けられ目を瞬かせると、「新鮮だな」と言われた。彼は私の服装を見ていた。