バツイチだけど恋をしてもいいですか

 冗談交じりに言った中村さんが、私と目が合った瞬間足を止めた。

「って、中里さん大丈夫?」
「え……?」

 大丈夫って、なにがだろう。

 不思議に思っていると、私の顔を中村さんがのぞきこむ。

「目が真っ赤だけど、まさか亘一に泣かされた?」

 さっき涙ぐんだせいで、目が赤くなってしまったんだ。

 そう気付き説明しようとしたけど、心配そうに肩を掴まれ驚いて言葉に詰まった。

「い、いえあの……っ」

 きょ、距離が近い……っ。

 至近距離で見つめられ動揺していると、課長が中村さんから私を守るように割り込んできた。

「なんでもない。ただ、業務の話をしていただけだ」

 そう言いながら、大きな体で中村さんの視線を遮ってくれる。

 牽制するような課長の態度に、中村さんは一瞬きょとんとしたあと、なにかを悟ったように口もとを緩ませる。

「ふーん。そっかそっか」
「なんだ、その『ふーん』は」

 不機嫌そうに眉を寄せる課長に対し、中村さんは楽し気だった。そのやりとりを見て、意外に思う。

「あの……。課長と中村さんは、仲がいいんですか?」