溺愛王子サマ達と秘密の同居

「ねえ、名前なんていうの?」

「え、あ……夢咲、す――」

 危ない。
 あわてて口をつぐむ。

 今、完全にいつもの自分の名前を言いそうになった。

 玲央がじろっとこっちを見た気がして、心臓が跳ねる。

「夢咲、鈴」

 なんとか言い直すと、その子はぱちぱちと目を瞬かせた。

「すず?」

「ち、違……鈴って書いて、りん、です」

 とっさについた嘘に、自分で自分の背中が冷たくなる。
 りんってだれ。
 わたしですら一瞬戸惑ったんだけど。

 でも、その子はすぐにふにゃっと笑った。

「へえ、りんくん。かわいい名前だね」

 かわいいって言われた!
 男としてそれ大丈夫!?

「俺、姫乃るい。よろしくね、りんくん」

 るいはそう言うと、するっとわたしの手を取った。
 その手は細くてきれいで、でも男の子らしい大きさもあって、なんだかどきっとしてしまう。

「顔ちっちゃいし、肌きれいだし、ほんとに男の子? ってくらい可愛い」

「るい」

 低い声で玲央が名前を呼ぶ。
 すると、るいは「はーい」と軽く返事をした。

「わかってるよ。いじめてないって」

「いじられてる自覚ならあるけど……」

 思わず小さくつぶやくと、るいがくすっと笑った。

「ほんとにおもしろいね」

 そのとき、ラウンジの奥からもうひとりの声がした。