溺愛王子と秘密の同居

 食堂の扉が開いた瞬間、わたしは思わず立ち止まった。

 るいはにこにこしてるし、悠真はやさしく笑ってるし、朔夜はいつも通り無表情に近い。
 なのに、どうしてこんなに逃げたくなるんだろう。

「りんくん、おはよ」

 最初に近づいてきたのはるいだった。
 ふわっと笑いながら、まるで当たり前みたいにわたしのすぐそばに立つ。

「今日も可愛いね」

「お、おはよう……って、朝からそれ!?」

「ほんとのことだもん」

 さらっと返されて、顔が熱くなる。
 するとすぐ後ろから、低い声が落ちた。

「朝から変なこと言うな」

「変じゃないよ。玲央くんこそ、りんくん迎えに行ってたんでしょ?」

「だから何」

「べつに? 特別だなあって思っただけ」

 るいの言葉に、心臓がどきっと鳴る。
 その横で悠真が小さく苦笑した。

「とりあえず、中に入ろうか。入口で止まってたら邪魔になるし」

「あ……うん」

 その言葉に助けられるように、わたしは食堂へ足を踏み入れた。