溺愛王子と秘密の同居

両手で頬をおさえてじたばたしていると、こんこん、と控えめなノックの音がした。

「……え?」

 こんな朝早くに誰だろう。
 まだちゃんと起ききっていない頭のまま、あわててベッドを降りる。

「は、はい……?」

 扉を少しだけ開けると。

「おはよ」

「っ……玲央!?」

 立っていたのは、制服姿の玲央だった。

 朝の光の中にいる玲央は、昨日より少しだけやわらかく見えるのに、それでもやっぱりかっこよくて、心臓に悪い。

「な、なんでここに……」

「迎えに来た」

「え」

「昨日言っただろ」

 たしかに言ってた。
 言ってたけど、本当に来るとは思わないじゃん!

「まだ寝てたのか」

「お、起きてたよ!」

「顔が寝てる」

「う……」

 図星すぎて何も言えない。
 しかも、わたし今かなり無防備な状態では?
 寝起きだし、髪も少し乱れてるし、完全にだめなやつだ。

 そう思った瞬間、玲央の目がふっとやわらいだ。

「……その顔、反則」

「えっ」

「寝起きでそんな顔すんな」

「な、なにそれ!?」

 わけがわからずあたふたしていると、玲央が軽くため息をつく。

「とりあえず着替えてこい」

「う、うん……」

「待ってる」

「部屋の前で!?」

「当たり前だろ」

 当然みたいに言われてしまって、わたしはますます落ち着かなくなる。

 でも玲央は、それ以上何も言わずに扉の横へ寄りかかった。
 本当に待つ気だ。

 わたしはあわてて扉を閉めると、その場で胸を押さえた。