溺愛王子と秘密の同居

「顔、ちょっと疲れてる」

「悠真……」

 その言い方があまりにも自然でやさしくて、思わず気がゆるみそうになる。

「初日だったし、緊張したよね」

「う、うん……」

「無理してない?」

 まっすぐ見つめられて、わたしは思わず小さくうなずいた。
 玲央やるいの近さとは違う、ほっとするあたたかさ。
 悠真の前だと、変に肩に入っていた力が抜けてしまう。

「少し座る?」

「えっと……」

「座らせるほどじゃない」

 すぐ横から玲央が口をはさむ。

「ちゃんと歩けてるし」

「歩けてても疲れてるときはあるでしょ」

 悠真が穏やかに返す。
 声はやさしいままなのに、なぜか空気がぴんと張る。

「玲央くん、今日はずいぶんりんくんのこと見てるよね」

 るいがくすっと笑いながら言う。

「朝からずっとそんな感じ」

「うるさい」

「図星なんだ」

「るい」

 低い玲央の声に、また場の空気が少しだけ熱を持つ。

 な、なにこれ。
 なんでみんなそんなにわたしを見るの。
 助けてほしいのに、誰も助けてくれそうにない。

 そう思った瞬間。

「……うるさ」

 静かな声が、部屋の奥から落ちた。

 はっとしてそっちを見ると、いつのまに来ていたのか、朔夜がキッチン横の壁にもたれていた。

「朔夜……!」

「さっきから夢咲の取り合いみたいになってるけど」

 朔夜は眠たそうな目を細めたまま、わたしたちを順番に見る。