溺愛王子と秘密の同居

玲央と一緒に寮へ戻るころには、空はすっかり夕暮れ色になっていた。

 さっきまで二人きりだった空気がまだ胸に残っていて、隣を歩くだけで落ち着かない。
 なのに、寮の玄関を開けた瞬間。

「おかえり、りんくん」

「っ!?」

 ふわっと笑うるいの声に、わたしはびくっと肩を揺らした。

 リビングのソファにもたれていたるいが、ぱっと立ち上がる。
 その笑顔はいつも通り可愛いのに、どこか待ち構えていたみたいで、心臓に悪い。

「る、るい……ただいま」

「遅かったね」

 そう言いながら、るいの視線がわたしから玲央へ移る。
 にこにこしているのに、その笑顔の奥に少しだけ探るような色が見えた。

「二人で帰ってきたんだ」

「別に普通だろ」

 玲央が靴を脱ぎながらぶっきらぼうに返す。

「ふーん。普通、ね」

 るいが意味ありげに笑う。
 やめて、その笑い方。
 今日一日でその顔の意味がなんとなくわかるようになってしまった自分がこわい。

「りんくん、お腹すいた? 俺、さっきお菓子見つけたんだけど、一緒に食べる?」

「え、あ……」

 るいが距離をつめてきた、そのときだった。

「その前に、夢咲くんは少し休んだほうがいいんじゃないかな」

 やわらかい声がして、顔を上げる。
 ダイニングのほうから来たのは悠真だった。