溺愛王子と秘密の同居

「近いの、嫌か」

 その問いに、すぐ答えられなかった。

 嫌じゃない。
 むしろ安心する。
 でも、それを素直に言ってしまったら、何かが変わってしまう気がして。

「……嫌じゃ、ない」

 やっとの思いでそう答えると、玲央の目がゆっくり細くなる。

「そっか」

 たったそれだけなのに、どうしてこんなに胸が苦しいんだろう。

 寮の門が見えてきたころ、玲央が静かに言った。

「明日も、迎えに行く」

「え?」

「朝」

「毎日?」

「嫌なのかよ」

「そうじゃないけど……」

 また顔が熱くなる。
 嫌なわけない。
 むしろ、ちょっと嬉しいと思ってしまった自分がいる。

「じゃあ決まり」

 玲央はそう言って、先に数歩進んだあと、振り返った。

「ちゃんとついてこいよ」

 夕焼けの中でそう笑う玲央が、ずるいくらいかっこよくて。
 わたしはまた、どうしようもなく胸を高鳴らせるのだった。