溺愛王子サマ達と秘密の同居

「うるさいな……!」

 思わず言い返すと、彼の眉がぴくっと動いた。

「あ?」

「だ、だから……いきなり人の顔見て変とか言うほうがどうかと思う!」

 言ってしまってから、しまったと思った。
 初対面の相手に何言ってるの、わたし!

 でも彼は怒るどころか、なぜか少しだけ口元をゆるめた。

「へえ」

「な、なに」

「おもしれーやつ」

 おもしろくなんてない。
 こっちは心臓ばくばくなんだけど!

 彼はわたしの手から書類をひょいと抜き取ると、そこに目を落とした。

「夢咲……鈴?」

「ちょ、勝手に見ないで!」

「しかも鈴って。ずいぶん可愛い名前してんじゃん」

「っ……!」

 だめだ、この人。
 距離感がおかしいし、勝手だし、上から目線だし、すごく腹が立つ。
 なのに、顔がよすぎるせいで余計にたちが悪い。

 彼は書類を返しながら、当たり前みたいに言った。