溺愛王子サマ達と秘密の同居

 それから数日後。

 鏡の前に立ったわたしは、そこに映る自分を見て、しばらく言葉を失っていた。

「……だれ?」

 さらさらだった髪は短く切られて、胸元はきっちり押さえられてる。
 ぶかっとした制服まで着ると、たしかにぱっと見は男の子っぽく見えなくもない。

「いけるいける! すず、すっごくかわいい!」

「いや、かわいかったらだめなんだけど!?」

 後ろではしゃぐお母さんに、わたしは思わず振り返る。
 かわいいじゃだめなの。男の子に見えないと意味ないの。

 でも、お母さんは満足そうにうなずいた。

「大丈夫よ。ちょっと線が細くてきれいな男の子って感じ」

「それもどうなの……」

 全然安心できない。
 むしろ不安しか増えてない。

 しかも今日から向かうのは、お兄ちゃんが通っている全寮制の名門学園。
 お兄ちゃんの代わりとして、男装して、一か月だけそこに通う。
 何回頭の中で言い聞かせても、やっぱり無茶だと思う。