一度しゃがみ込んで顔を見る。
頬には青痣、目は腫れ上がり、かろうじて瞼を閉じることが出来ていた。
よくあるヤンキーが喧嘩しただけならいいけれど、ヤクザのような裏社会の人間なら厄介だ。
下手に手を出して、こっちが狙われたらたまったもんじゃ無い。
けれど、さすがに見て見ぬふりをするほど私は冷たく無い。
一応、確認だけ。
少し顔を近づけて、耳をすます。
すう、すう、と一定のスピードで鳴る呼吸音。
.........きっと、生きている。
そんな瀕死のような姿を見て、ただただ『かわいそう』だなと思った。
同じ人間でも住んでる場所が違うだけで置かれる立場も違う。
良くわからない、そして面倒くさい世界だ。
もしも、"優しい人"なら、ここで心配して助けるのだろうか。
声をかけて、治療して、心を開いてくれるまで。
何が正しいのかはわからない。
正解はないと思う。
胸が上下に、ゆっくりでありながらも動いていることを最後に確認して、立ち上がる。
そしてそっとその場を立ち去る。

