サク、サク、と音を立てて歩く。
今は夜。人通りは少なく、無いに等しい。
見えるものといったらチカチカと不気味に点灯している古びた街灯。
光に集まったのか、虫が飛んでまわっている。
気分は普通。
良くもなければ悪くもない。
けれど、意図的だったのか、なんだったのか。
足は普段は通らない道へ進む。
いつもは避けて通るような、ビルとビルの間。
いわゆる、路地裏だ。
足元は暗く、注意して歩かなければならない。
近道になるかもしれない。
普段よりもよく観察して歩いてみる。
たくさん落ちているゴミ。
お菓子のゴミ、ペットボトルのゴミ、煙草のゴミ、そして、薬物の袋らしき物まで。
進んで行くと、分かれ道。
どこかの迷宮に迷い込んだみたいだ。
特に何も考えずに進んだ先にあった、大きくて、黒く汚い物体。
「え.............」
それは生々しいほどにリアルな、『人』だった。
こんな姿の人を見るのは漫画以外では初めてだった。
見た限りは、男だと思う。
服には土や泥がついていて汚れているし、髪はすすけて臭いまである。
よくよく見ると、出血したのか、血が固まって黒くこびりついているようにも。

