溢れるほどの幸せをくれた君に、もう一度会えますように。




並んで歩くうちに、だんだん見慣れた校門が近づいてきた。

周りには、同じセーラー服を着た生徒たちの、にぎやかで元気な声が響いている。だけど、学校の敷地に
入った瞬間、私の隣を歩く静音の様子が、さっきとは明らかに違っていた。

学校ではおとなしくて控えめな静音は、うつむいたまま自分のスクールバッグの紐をぎゅっと、ちぎれそうなくらい
強く握りしめている。

白い息を吐き出す肩が、かすかに震えているのがわかった。

(静音……学校に来るのが、本当はこんなに怖かったんだね……)

1度目の冬の私は、あの子の小さな変化にすら、何一つ気づいてあげられなかった。

「静音!」

私はわざと明るい声を出して、静音の目の前に自分の顔をのぞかせた。

「あ、はい!なぁに、お姉ちゃん?」

びくっと肩を揺らして顔を上げた静音の瞳には、隠しきれない不安と怯《おび》えがにじんでいる。

私はそんな妹の頭を、くしゃくしゃと優しく撫でまわした。

「なぁに、じゃないよ!今日も放課後、ちゃんと一緒に帰るからね。教室で寂しくなったら、
いつでも三階のお姉ちゃんの教室においで。わかった?」

私の言葉に、静音は驚いたように一瞬目を見開いた。それから、安心したように小さく息を吐きだして、
いつもの優しい笑顔で頷いた。