溢れるほどの幸せをくれた君に、もう一度会えますように。

私は大きく深呼吸をした。胸の奥の後悔をぐっと押し込めて、いつもの "明るくて頼れるお姉ちゃん”
を演じる。

「…うん、おはよう、静音!起こしに来てくれればよかったのに」

私の声を聞いて、静音はパッと目を輝かせた。

口にくわえていたトーストを1度手で持つと、ドヤ顔で私の分の朝食を指差す。

「お姉ちゃんがなかなか起きてこないから、私がもうトースト焼いておいたんだよ? スクランブルエッグも作った!
ほら、早く座って食べて!」

お皿の上には、静音が私のために美味しそうに焼いてくれた、あたたかいトースト。

鮮やかな黄色のスクランブルエッグもある。

「わぁ、美味しそう!」

私は手を洗って、静音の隣の食卓の椅子に座る。

「いただきます!」

トーストをかじる私を、静音はうれしそうに見つめながら、自分のトーストをまたサクサクと美味しそうにかじっている。

「お姉ちゃん、今日ね、数学の小テストがあるんだ…自信ないよー」

なんて、中学生らしい何気ない学校の話を楽しそうにしゃべりながら。

学校に行けばあんなにつらい地獄が待っているのに、私のために朝ご飯を用意して、こんなに無邪気に
笑ってくれている。

1度目の冬には失ってしまった、静音のあたたかい気配。

静音が焼いてくれたトーストの香ばしいにおいと、なんでもない朝の会話が、今の私にとっては
涙が出るほど愛おしくて、『幸せだな』と感じた。