溢れるほどの幸せをくれた君に、もう一度会えますように。

仕事でほとんど家に帰ってこない両親の姿は、今日もそこにはいない。

いつもなら少し寂しく感じる静かな我が家。だけど、食卓の椅子に座っている懐かしい後ろ姿を見つけた瞬間、
目頭がじわっと熱くなった。

「あ、お姉ちゃんおはよう!朝ご飯できてるから早く食べて!遅刻しちゃうよ?」

トーストを口にくわえたまま、いつも通りのかわいい笑顔で振り返ったのは、妹の静音だった。

学校でひどいいじめに遭っていて、心が限界を迎えているなんて1ミリも感じさせない、いつもの静音。

ーーだけど、私は知っている。

その笑顔に隠された、残酷な現実を。

頭の奥で、あの『1度目の冬』の、私の命日の1日前の記憶が鮮明に蘇《よみがえ》る。

あの日の夕方、私は静音の部屋のクローゼットの奥底で、固く結ばれた黒いゴミ袋を
見つけてしまった。

不審に思って中を開けた時の衝撃を、私は多分、一生忘れないと思う。