秘書に通された応接室には、四角いテーブルを挟んで、黒革のソファーが一つずつ置いてある。社長は左側に腰を下ろし、隅に置かれた灰皿を中央に直した。俺は秘書がドアを閉めるのを窺い、ドアの右側のほうに佇んだ。
「何してるの。早く座って」そう言いながら、社長はポケットから煙草を取り出し、テーブルの上に静かに置いた。
「では、失礼致します」俺は右側のソファーに向かい、静かに腰を下ろした。
そして少し間を置いてから、社長は口を開いた。
「吸わないのかい?」
「お気持ちだけ頂いておきます」俺がそう答えると、社長は灰皿と煙草を隅に置き直し、こちらに顔を向けた。
「辞めたんだ……。僕も入院を機に辞めたけど、時々吸いたくなる」と社長が軽く笑ったところで、秘書が入ってきて、お茶と羊羹をテーブルの上に置いた。そして、直ぐに去って行った。
すると、社長は直ぐに口を開いた。
「遠慮せず、食べて飲んで。僕はここの羊羹が好きでね、君にも気に入って貰えると良いんだけど……」そう言いながら、社長は羊羹を黒文字で小さく切り、口へ運んだ。
「頂きます」俺はお茶を口にして、羊羹に切り口を入れた。
「正式な辞令は後から出るけど、君には璃乃の担当に戻って貰う事にしたから」
あまりにも呆気ない伝達に、口に運ぼうとした羊羹を思わず落としそうになった。
「承知致しました。直ぐに引き継ぎに取り掛かります」そう応え、羊羹を口にした。
そこで、社長は口角の端を上げ、直ぐに戻すと、黒文字を置いた。
「人事部の事は聞いてるかい?」
「多少の噂は耳にしております」
俺が顔を向けると、社長もこちらを向き、互いの呼吸が潜んだ。
次第に辺りに静寂が広がり、俺は黒文字を置き、静かに姿勢を正した。
「僕の居ない間に勝手をさせてしまって、本当に申し訳ない。人事の上役は地方へ飛ばしたし、上役の下に居た奴らも子会社に転勤させてやった」
社長は武勇伝のように語り、鼻で笑うと、お茶を一口啜ってから、話を続けた。
「その代わり、各子会社から有能な人材を昇格させたから、これで我が社は安泰だ」と言って、こちらに笑顔を向けた。
「そうですか。それは何よりです」俺は少し口角を上げて返した。
「君には前より働いて貰うよ」と社長は言って、ほくそ笑んだ。
「お任せ下さい。ですが、咲山に無理はさせたく有りませんので、そこだけはご了承下さい」
俺は社長の目を見て、そう伝えると、社長は少し真剣な目をしてから、直ぐに戻して、言った。
「君が璃乃を連れて来たんだ、頼むよ……」
その声が優しげに聞こえ、俺は彼女の担当に戻れる事を嬉しく思った。
「何してるの。早く座って」そう言いながら、社長はポケットから煙草を取り出し、テーブルの上に静かに置いた。
「では、失礼致します」俺は右側のソファーに向かい、静かに腰を下ろした。
そして少し間を置いてから、社長は口を開いた。
「吸わないのかい?」
「お気持ちだけ頂いておきます」俺がそう答えると、社長は灰皿と煙草を隅に置き直し、こちらに顔を向けた。
「辞めたんだ……。僕も入院を機に辞めたけど、時々吸いたくなる」と社長が軽く笑ったところで、秘書が入ってきて、お茶と羊羹をテーブルの上に置いた。そして、直ぐに去って行った。
すると、社長は直ぐに口を開いた。
「遠慮せず、食べて飲んで。僕はここの羊羹が好きでね、君にも気に入って貰えると良いんだけど……」そう言いながら、社長は羊羹を黒文字で小さく切り、口へ運んだ。
「頂きます」俺はお茶を口にして、羊羹に切り口を入れた。
「正式な辞令は後から出るけど、君には璃乃の担当に戻って貰う事にしたから」
あまりにも呆気ない伝達に、口に運ぼうとした羊羹を思わず落としそうになった。
「承知致しました。直ぐに引き継ぎに取り掛かります」そう応え、羊羹を口にした。
そこで、社長は口角の端を上げ、直ぐに戻すと、黒文字を置いた。
「人事部の事は聞いてるかい?」
「多少の噂は耳にしております」
俺が顔を向けると、社長もこちらを向き、互いの呼吸が潜んだ。
次第に辺りに静寂が広がり、俺は黒文字を置き、静かに姿勢を正した。
「僕の居ない間に勝手をさせてしまって、本当に申し訳ない。人事の上役は地方へ飛ばしたし、上役の下に居た奴らも子会社に転勤させてやった」
社長は武勇伝のように語り、鼻で笑うと、お茶を一口啜ってから、話を続けた。
「その代わり、各子会社から有能な人材を昇格させたから、これで我が社は安泰だ」と言って、こちらに笑顔を向けた。
「そうですか。それは何よりです」俺は少し口角を上げて返した。
「君には前より働いて貰うよ」と社長は言って、ほくそ笑んだ。
「お任せ下さい。ですが、咲山に無理はさせたく有りませんので、そこだけはご了承下さい」
俺は社長の目を見て、そう伝えると、社長は少し真剣な目をしてから、直ぐに戻して、言った。
「君が璃乃を連れて来たんだ、頼むよ……」
その声が優しげに聞こえ、俺は彼女の担当に戻れる事を嬉しく思った。



