双恋〜大好き、でも譲れない!〜

​ガラガラッ。

​静まり返った教室のドアが開き、一人の男の子が入ってきた。

​その瞬間、教室内の女子たちの視線が一斉にその人物へ注がれる。

​(……え?)

​スラリと伸びた高い背。少し乱れた黒髪の間から覗く、鋭く整った目元。

​それは紛れもなく、さっき掲示板の前で私たちを庇ってくれた——あの男の子だった。

​「うそ……っ」

​後ろの席で、まっちゃんが息を呑む気配がした。

​彼は女子からの視線なんて意にも留めない様子で、ポケットに手を入れたまま、悠々と教室
の前へと歩いてくる。

​(同じクラス……だったんだ……!)

​少し離れた前の席。

​彼の横顔はここからじゃよく見えないけれど、背中を見ているだけで心臓が爆発しそうなく
らいドックンと跳ね上がる。

​すると、後ろからまっちゃんが私の肩をぎゅっと掴んできた。

​「ち、ちづちゃん……っ! 見た……!?」

​ひそひそ声だけど、興奮を隠しきれていないまっちゃんの声。

​振り返ると、まっちゃんは頬を真っ赤に染めて、前のほうに座る彼の背中をうっとりと見つめていた。

​「同じクラスだよ……! 名前、なんて言うんだろ……」

​まっちゃんの呟きに答えるように、担任の先生がガラガラと扉を開けて入ってきた。

​「はーい、席につけー。じゃあ出席番号順に自己紹介していくぞ〜」