その日は、大学のサークル仲間と、海にバーベキューに来ていた。

バーベキューセットやコンロの支度は後輩の男子がやってくれたけど、料理は任せた、とばかりにビールを飲み始めた。

もちろん、女子は私一人じゃない。

ほかの女の子たちと一緒に、串に刺した肉や野菜を焼き始めたのだが、可愛い子は、男達が次々と連れ去ってしまう。

私には、誰も声をかけてこない。

必然的に、料理係と化していた。



焼きそばと格闘していると、

「美雪、ほら、ビール」

篤が声をかけてくれた。

他の男共が私に声をかけないのは、彼のせい(と思いたい)。

篤は、怜奈に言わせれば『老若男女に好かれる完璧な好青年』。

笑顔がさわやかで、誰にでも優しい。

顔立ちは精悍で、健康的。

サークルの部長で皆に慕われている。

理想的な私の恋人。