ケンカの天才は、王子様に勝てない。

「三千華ぁ~~~!」


そんな慎一お兄ちゃんの後ろからひょっと現れた。

半べそかきながら両手を広げて、そのままぎゅーっとあたしに抱きついて頬をすりすりする。ちょっとうっとおしくてやめてほしい。


「彰二(しょうじ)お兄ちゃん…」


あたしの2つ上、高校1年生の彰二お兄ちゃん。

慎一お兄ちゃんよりはちょっと小さいくて、筋肉も慎一お兄ちゃんほどないけど触ればわかるぐらいムキムキはしてる。

「三千華心配したぞぉ~~~!」

ぎゅーって抱きしめられたら簡単には離れられないくらい力は強くて。

「彰二お兄ちゃん、まだ19時だし!」

「何言ってるんだよぉ~!?もう19時だぞ!」

「でもっ」

「オレの可愛い三千華に何かあったらどーするんだよぉ~っ!」

「……。」

…兄の欲目ってやつ、たぶん。
あたしはそんなにかわいくないし、言うほどって感じだし。

それにあたしはそんな弱いやつじゃない。

「だから彰二お兄ちゃん心配しすぎっ」

「当たり前だ」

どんっとさらに胸を張った慎一お兄ちゃんがギロッとあたしの方を見た。
さっきよりも空気が重くなったから、怖くて口を開けたまま固まっちゃった。

じーっと見てくる、するどい目をした慎一お兄ちゃんが。


そんなに見られたら顔に穴が開いちゃうんじゃ…!


「三千華は世界一可愛い」