英雄として死んだはずの夫が、隣国で結婚して私への褒美を盗みに来ました

「うるさい、うるさい、うるさい! お前は俺の妻だろう? だったら俺の言う通りにしろよ」
「呆れた……。もう他の女性と結婚して、私を先に捨てたというのに、どの口がそんなことを言うのかしら」

 金を渡さないとは言っていない。
 ただ私が言ったのは、真実を公(おおやけ)にするということだけ。

 それでも納得がいかないアレンは、手当たり次第に暴れて部屋にあったものをなぎ倒していく。

「……これならいっそ……」

 私はそこに続く言葉を飲み込む。
 たぶん人としては言ってはいけない言葉だから。

 そして部屋で暴れる音を聞きつけた兵士たちが、部屋に流れ込んでくるまで、さほど時間はかからなかった。