LOVE☆STORIES

​「気をつけてな、宮瀬さん」

​彼は私の生徒手帳に書いてあった名前をちらりと見ると、ふっと柔らかく微笑んだ。

​「え……」

​なんで名前を知ってるの、と聞く間もなく、彼はそのまま教室の奥へと歩いて行ってしまった。
​その背中をぽかんと見送っていると、隣ですずが私の腕をギュッと掴んできた。

​「ねぇリズ! 今の見た!?」

​「え? う、うん……生徒手帳拾ってもらっただけだけど……」

​「違うよ! 今の人、咲ヶ嶺敦史くんだよ!?」

​興奮気味に耳元で囁いてくるすずの顔は、目がキラキラと輝いている。

​「さきがみね……あつし君?」

​聞いたことのある名前だった。

​うちの学年で知らない人はいないと言われている、あの有名な男子だった。

​咲ヶ嶺敦史。

​一年生のときからその圧倒的なルックスとスタイルで、女子からの人気を集めまくっている学年NO1モテ男子だ。

​運動神経バツグンで成績も上位、それでいて誰にでもフラットに接するから、男子からの信頼も厚いらしい。

​「まさか同じクラスになれるなんて思わなかった〜!すごくラッキーだよ!」
​「そうなのかな……」

​「そうだよ! 見て、女子たちの視線。みんなもう敦史くんのこと見てるもん」