欲しがる妹に婚約者をあげたら、なぜかキレられました。これって私が悪いのでしょうか?

「これは何の騒ぎなんだ」

 父はわめく二人に目をやりながら、私に尋ねた。
 私に尋ねればなんとかなるだろうというその腹積もりが、やけに腹が立つ。

「さぁ? 痴話喧嘩のようですね」
「ふざけないでよ! いらない! いらない! いらない! いらないの!」
「おれだって、お前みたいな尻軽女なんか願い下げだ!」

 あーあー、よくやるわ。
 護衛や使用人たちが見てる中でこんなにも大声をあげちゃって。
 
 人の噂って、すぐに広がるって知らないのかしら。

「アデライト、もう一度おれと……」
「嫌です。私はもうここを出て行きますので」
「あ、アデライト、出て行くとはどういうことだ?」

 焦ったように父が声をあげた。