欲しがる妹に婚約者をあげたら、なぜかキレられました。これって私が悪いのでしょうか?

「そうだけど……それは……」
「それは? ミレイヌ、どういうことなんだ? 君はおれのことが好きなんじゃあ……」
「好きじゃないわよ、あんたみたいなナルシスト」
「じゃあなんでおれと付き合いたいとか、アデライトの代わりに結婚したいだなんて言ってたんだよ」
「ただ姉さんを泣かせたかっただけよ。姉さんのモノだったから奪いたかっただけ。あんたになんて価値ないし」

 本人を前にしてきっぱりと言ったものだと、私はある意味感心する。
 清々しいまでの醜悪さね。

 ミレイヌは縋りつくルシアンの腕を払いのける。
 私にルシアンが欲しいと言った時の態度とはあまりにも真逆だった。

 だけどようやくミレイヌの素が分かったのか、ルシアンは私の方を向く。

「私はもう婚約者でもなければ、元鞘に戻る気もないですし。もう次を見つけましたので。お二人でこの先どうにかして下さいね」

 ハッタリでしかないけれど、これ以上巻き込まれたくない私はわざとらしく上着に手をかける。

 よほどその仕草と決定事項が腹立たしかったのか、二人は夜も深まった時間だというのに大きな奇声を上げていた。

 するとさすがに異変に気付いたうちの護衛や両親が屋敷から出て来る。