欲しがる妹に婚約者をあげたら、なぜかキレられました。これって私が悪いのでしょうか?

「い、いえ。さすがにそれは……」
「今度会う時に返してくれればいいよ」

 その言葉に、私はただコクリと頷く。
 また、今度。
 その約束がどこまでも甘く感じられたから。

 そして馬車に乗ると、私の姿が見えなくなるまでエドガー様は私を見送ってくれていた。

 羽織った上着から、やや甘めのムスクの香りが漂う。
 まるで彼に包まれているような感覚に、私は勘違いしてしまいそうになる自分を押さえるのに精一杯だった。