欲しがる妹に婚約者をあげたら、なぜかキレられました。これって私が悪いのでしょうか?

「はい。エドガー様。名前を憶えていただき、光栄です」

 私がそう言いながら微笑み返せば、人垣はゆっくりと私たちから距離を置く。

 このエドガー様は、王太子殿下であるアラン様のご友人であり、隣国の王弟殿下だ。

 留学でこちらに来ているとは聞いていたけれど、まさかこんなところでお会いできるなんて。
 ああ、もしかしたらこれはチャンスかもしれないわ。

 どうせ家を出たかったし、仲良くなって向こうで就職先とか紹介してもらえないかしら。

「アランと同じ学園に通っていただろう? そこで唯一勝てない秀才だと君のことを褒めていたよ」
「そんな……たまたまでございますわ」
「たまたまで全勝するなんて、それこそ凄いことだろう? わたしなど、あいつに一度も勝てたことがないというのに」

 そう言いながら片目でウインクをするエドガー様に、私は思わず笑ってしまった。

 そこから話はどんどんと弾んでいった。
 お互いの国の話から、政策論にまで。

 初めこそ周りの令嬢たちは嫉妬の目で私を睨みつけていたものの、会話が濃くなればなるほど、一人また一人と去って行った。