欲しがる妹に婚約者をあげたら、なぜかキレられました。これって私が悪いのでしょうか?

 んー。
 どうせなら、ルシアンみたいな話の通じない馬鹿な人じゃなくて、頭の良い人がいいよね。

 別にもう同じくらいの歳じゃなくてもいいかな。
 後妻であってもなんでもいいから、とにかく話が通じるマトモな人がいいのよね。

 そんな風に見渡していると、夜会で一か所だけ令嬢たちが囲いを作っている場所があることに気付く。

 私は給仕から受け取ったワインを片手に、ゆっくりとその人垣に近づいた。

 輪の中心には、やや褐色ですらりと背の高い深い青緑の髪の男性がいる。
 私が近づくと、彼とその目が合った。

 ああ、この方は……。

「もしかして、君がアデライト嬢かな?」

 男性は柔らかな笑みを浮かべながら、こちらへやって来る。
 まさか私の名前を知っていたなんて。