俺にだけ弱さを見せろ~無口な生徒会長の過保護な溺愛命令~

だからこそ、幸はいつもこうやって私のことを心配して、私以上に怒ってくれるのだ。

「心配してくれてありがとね、幸でも、私には一つもずば抜けた才能がないからさ。誰かの役に立つことで、ここにいる意味を作りたいのかも」

私が自嘲気味に微笑むと、幸は胸がキュッと締め付けられるような表情を浮かべた。

「そんなこと言わないでよ。瀬莉奈はそこにいるだけで十分素敵なの。何でも八十点が取れることだって、本当はすごいことなんだよ? なのに、どうしてそんなに自分を低く評価しちゃうかなぁ……」

幸は歯がゆそうに唇を噛み締め、私の手をぎゅっと握りしめてくれた。

幸の優しさに胸が温かくなる。

でも、私の中にある底なしのコンプレックスは、どうしても消えてはくれなかった。

この学園には、本物の「天才」たちが溢れているからだ。

私のような器用貧乏は、死に物狂いで努力し続けなければ、あっという間に置き去りにされてしまう。

そんな私の焦りを、幸は誰よりも理解してくれているけれど……私自身がこの呪縛から抜け出せない以上、幸にもどうすることもできないのだ。

「あ、そうだ瀬莉奈。今日の放課後なんだけど……」

幸が何かを言いかけたその時、教室の引き戸が静かに開いた。

その瞬間、それまでガヤガヤと騒がしかった教室が一瞬にして静まり返る。