俺にだけ弱さを見せろ~無口な生徒会長の過保護な溺愛命令~

爽やかな朝の空気を胸いっぱいに吸い込みながら歩いていると、後ろからパタパタと走り寄ってくる足音が聞こえた。

「瀬莉奈~! おはよ!」

振り返ると、黒髪のゆるふわ髪を揺らした幸が、笑顔で手を振っていた。

「幸、おはよう」

「どうだった!?」

待ちきれないといった様子で顔を覗き込んできた。

その瞳には心配と野次馬根性が半々といった色が浮かんでいる。

「どうだったって……なにが?」

「とぼけないでよ~! 昨日の放課後の生徒会室だよ! 生徒会どうだった!?何か変なこと頼まれなかった? いじめられてない!?」

冷徹と言われる九条くんが、私の差し出したメモをまっすぐ見つめ、『俺は、お前の仕事を高く買っている』と言ってくれたあの瞬間。

「いじめられてなんかないよ!かるーくお手伝いしただけ」

「本当に? 瀬莉奈のことだから、また『私が我慢すれば』とか思って無理して引き受けてない?」

幸は立ち止まり、私の顔をじっと見つめて眉をひそめた。

幸のこういう鋭い優しさに、私はいつも救われている。

私が「万能」のフリをしてどれだけ笑顔を作っていても、幸だけは私の疲れや無理を見抜いてくれるのだ。