昼休みに私と日向と千鶴は
三人で机をくっつけてお弁当を広げていた
今のところすごく平和でいい感じだ
千鶴が日向のお弁当箱を覗き込む
「日向のお弁当」
「可愛らしいですね」
「これはキャラ弁というやつでしょうか」
「そうだよ~」
日向が嬉しそうに笑う
「詩織さんが作ってくれるんだ~」
「詩織さん?」
「パパに捨てられた愛人だよ~」
「一緒に住んでるんだ~」
「え?」
「え?」
私と千鶴の声が重なった
詩織さんはよく日向の話に出てきたので
一緒に住んでいることは知っていた
でも父親に捨てられた愛人とは私も知らなかった……
千鶴が少し考えてから
日向を見る
「詩織さんは」
「日向のお母様ということですか?」
「違うよ~」
日向が何でもないことのように答える
「私のママとパパが別れたあとに~」
「家に来た愛人だよ~」
「そ、そうなのですね」
千鶴の笑顔が僅かに固まった
気持ちは分かる
私も今
どういう顔をすればいいのか分からない
「詩織さんはいい人でね~」
日向がお弁当の中の
可愛らしい動物の形をしたおにぎりを箸でつつく
「朝早く起きて~」
「何時間もかけてお弁当を作ってくれるの~」
千鶴の笑顔が少し引きつっている
私も気になる
なんで日向の父親と別れた元愛人が
日向のために毎朝手間暇かけたお弁当を作ってるの?
千鶴は戸惑いながらも
表情を自然な笑顔に戻す
「とても美味しそうですね」
「美味しいよ~」
すると日向が私と千鶴のお弁当を交互に見た
「それより気になるんだけど~」
「なんですか?」
「千鶴のお弁当~」
日向が私のお弁当を指さす
「美緒のと同じじゃない~?」
「え?」
私のお弁当に視線が集まる
当然同じだ
卵焼きに唐揚げ、ほうれん草のお浸し
同じおかずで同じ配置
「なんで~?」
千鶴が不思議そうに答えた
「それは朝に美緒と一緒に作ったからですよ」
日向の箸が止まった
「一緒に~?」
「はい」
日向がゆっくり私を見る
「どういうこと~?」
「あ」
そういえば説明してなかったっけ
「千鶴はお父さんの弟子なのよ」
「だから」
「うちに住んでるの」
日向がじーっと私を見る
なに?
その目
「聞いてないよ~」
「言ってなかった?」
「聞いてない~」
「ご、ごめん」
あれ
なんで私は謝ってるの?
日向が今度は千鶴を見る
「へ~」
「いいなぁ~」
「美緒とずっと一緒なんだ~」
なんだろう
言葉は普通なのに妙な圧を感じる
「弟子ってことは~」
「高梨の道場で稽古してるの~?」
千鶴が頷く
「はい」
「稽古をつけていただいています」
「へ~」
日向がちらっと私を見る
「ってことはさ~」
「美緒とも稽古してたりとか~?」
「いえ」
「私はまだ新参ですが」
「美緒はあまり道場には来られないと聞きました」
「そうなんだ~」
日向の顔が緩んだ
あ
機嫌がよくなった
「美緒って~」
「戦ってくれないもんね~」
「身持ちが固いってやつ~」
「あはは……」
暗に自分と戦えと言ってるわね……
すると千鶴が何気なく言った
「え?」
「私は戦いましたよ」
日向の動きがぴたりと止まった
「は?」
声が変わった
私の箸も止まった
まずい
なんかものすごくまずい
千鶴はそんな空気に気づかず
いつもの調子で続ける
「ですから」
「美緒とは立ち会いました」
「見事に負けてしまいましたが」
日向がゆっくり千鶴を見る
「いつ?」
「先週の月曜日でしたでしょうか」
千鶴が少し考える
「初めてお会いした日に」
「初めて会って?」
「すぐにしてくれたの?」
「はい」
「そうです」
日向がにこっと笑った
「あはははは」
笑い声が乾いてる
ものすごく乾いてる
嫌な予感しかしない
「ひ、日向?」
「千鶴とのはね」
「成り行きで仕方なく」
「この前ね~」
「ドラマ見たのよ~」
「へ?」
「ドラマ?」
今、その話する?
日向がにこにこしながら続ける
「ず~っと傍にいて~」
「ず~っと好きだった人がね~」
「う、うん」
「突然出てきた~」
「どこの馬の骨とも分からない女に~」
「目移りしちゃって~」
千鶴が小さく首を傾げる
「馬の骨?」
日向は笑ったまま続ける
「取られちゃうの~」
ぞくっ
背中が寒くなった
「私が先じゃ~んってなって~」
「本当はそういうのに興味がないんじゃなくて~」
「私はキープちゃんだったんだなってなって~」
「それでね~」
日向がお箸を置く
突然ハッキリとした口調になった
「主人公は」
「復讐の鬼になっちゃうの」
「違うからね!」
思わず叫んだ
日向が私を見る
「なにが~?」
口調が戻った
「事情があるの!」
「あれは!」
「別に遊びで戦ったんじゃないから!」
日向の笑顔がさらに深くなった
「へ~」
「じゃあ本気なんだ~」
しまった
言葉を間違えた!
ってか
私はなにを弁明しているの!?
「もっと悪いね~」
「えええええ!?」
なんで!?
「違う違う!」
「そういう意味じゃなくて!」
「じゃあどういう意味~?」
「えっと!」
本気じゃないって言ったら嘘
本気って言ったら怒る
どうすればいいのよ!?
私は千鶴を見る
助けて!
千鶴はそんな私の視線に気づいて
にこりと笑った
「日向」
「ご心配なく」
「美緒とは本気で戦いました」
「千鶴ぅぅぅぅ!」
「ちがあぁぁう!!」
なんで補強するのよ!?
日向が頬杖をついた
「ショックだな~」
「え?」
「私はさ~」
日向が私を見る
「求めて~」
「求めて~」
「何度お願いしても~」
「ず~っと無視されてきたのに~」
「千鶴とは~」
「その日のうちになんだ~」
「人聞き悪くない!?」
「普通は友達と本気で戦わないでしょ!?」
「でも~」
日向が今度は千鶴を見る
「この女とは~」
「やったんでしょ~」
「この女?」
千鶴の目がほんの少し細くなった
あ
今
なんかフラグが立った
日向が千鶴を上から下まで眺める
「この子の~」
「どこがよかったのかな~」
「清楚に見えるところとか~?」
「だからそういう話じゃないって!」
「だって~」
日向が首を傾げる
「こんなに弱そうなのに~」
あ
駄目
それは絶対に言っちゃ駄目なやつ
千鶴がにこりと笑った
「なるほど」
声はいつも通りにとても穏やかだ
なのに何故だろう
私はものすごく嫌な予感がした
「日向には」
「私が弱そうに見えるのですね」
「うん~」
「そうだよ~」
日向もにこにこ笑っている
「すっごくね~」
やめて
笑い合わないで
怖いから!
千鶴が静かに箸を置いた
「それでしたら」
お弁当箱の蓋を閉じる
目だけが全然笑ってない
「一度」
「確かめてみますか?」
来たあああああ!!
「ちょっと待って!」
日向の目が一気に輝いた
「いいの~?」
千鶴が笑顔を向ける
「もちろんです」
「美緒に相手にされず」
「色々と持て余しておられるご様子」
「可哀想ですから」
「遊んでさしあげますよ」
その笑顔が薄いものに変わった
「ただし……」
「後悔なさらないでくださいね」
日向が嬉しそうに身を乗り出す
「そうそう~」
「私って可哀想だよね~」
「私とはしたくないのに」
「千鶴とはしたなんてさ~」
またハッキリとした口調に変わった
「羨ましすぎて」
「やりすぎちゃいそう」
「それは奇遇ですね」
「私もやりすぎちゃうのが心配です」
「手加減して戦うなんて」
「やったことありませんから」
「へ~」
「へえ」
二人が笑顔で見つめ合う
やめて……その笑顔
さっきまでの仲良しの笑顔じゃない!
「ちょっと待って!」
私は二人の間に手を出した
「なんでこうなるの!?」
日向が笑う
「だって~」
「千鶴としてみたいし~」
「私もですよ」
千鶴も笑う
「日向に弱そうと言われたままでは」
「少しだけ」
「気になりますので」
「少しに見えないよ!?」
「二人とも強いじゃん!」
「私は知ってるから!」
「それでいいじゃない!」
「でも~」
「ですが」
二人が同時に私を見る
なに……その息の合い方
「やりたいよね~」
「はい、やりましょう」
「やっぱり千鶴とは気が合うかも~」
「そうですね」
「日向とは気が合うかもしれません」
そういうところで気を合わせないで!
「駄目だよ!」
「日向と千鶴が本気で戦ったら」
「どっちもただじゃすまないじゃん!」
私は机を叩いた
「絶対駄目!」
「友達同士で本気で戦うとか!」
「意味分かんないから!」
日向が不思議そうに首を傾げる
「美緒と千鶴はしたんでしょ~?」
「それは……」
「まだ友達じゃなかったから」
千鶴も静かに頷いた
「はい」
「美緒との戦いは忘れられません」
「今思い出しても」
「あの熱い戦いに胸がトキメキます」
「毎朝起きると」
「美緒の強力な一撃をうけた胸がうずいて」
「強い絆を感じるんです」
「そういう言い方やめて!」
余計に日向が怒るから!
案の定
日向がじーっと私を見る
「へ~」
「熱い戦いだったんだ~」
「違う!」
「いや違わないけど!」
「違うの!」
「どっち~?」
「私にも分からないのよ!」
なんなのよ!
この状況!
日向が千鶴を見る
「じゃあ~」
「放課後ね~」
「はい」
千鶴も笑顔で頷いた
「楽しみにしています」
「決めるなああああ!!」
教室中に私の声が響いた
今朝
私は思った
こいつら
放っておいたら絶対いつかやるって
私の考えは甘かった
いつかなんかじゃない
放っておかなくても
今日だった
三人で机をくっつけてお弁当を広げていた
今のところすごく平和でいい感じだ
千鶴が日向のお弁当箱を覗き込む
「日向のお弁当」
「可愛らしいですね」
「これはキャラ弁というやつでしょうか」
「そうだよ~」
日向が嬉しそうに笑う
「詩織さんが作ってくれるんだ~」
「詩織さん?」
「パパに捨てられた愛人だよ~」
「一緒に住んでるんだ~」
「え?」
「え?」
私と千鶴の声が重なった
詩織さんはよく日向の話に出てきたので
一緒に住んでいることは知っていた
でも父親に捨てられた愛人とは私も知らなかった……
千鶴が少し考えてから
日向を見る
「詩織さんは」
「日向のお母様ということですか?」
「違うよ~」
日向が何でもないことのように答える
「私のママとパパが別れたあとに~」
「家に来た愛人だよ~」
「そ、そうなのですね」
千鶴の笑顔が僅かに固まった
気持ちは分かる
私も今
どういう顔をすればいいのか分からない
「詩織さんはいい人でね~」
日向がお弁当の中の
可愛らしい動物の形をしたおにぎりを箸でつつく
「朝早く起きて~」
「何時間もかけてお弁当を作ってくれるの~」
千鶴の笑顔が少し引きつっている
私も気になる
なんで日向の父親と別れた元愛人が
日向のために毎朝手間暇かけたお弁当を作ってるの?
千鶴は戸惑いながらも
表情を自然な笑顔に戻す
「とても美味しそうですね」
「美味しいよ~」
すると日向が私と千鶴のお弁当を交互に見た
「それより気になるんだけど~」
「なんですか?」
「千鶴のお弁当~」
日向が私のお弁当を指さす
「美緒のと同じじゃない~?」
「え?」
私のお弁当に視線が集まる
当然同じだ
卵焼きに唐揚げ、ほうれん草のお浸し
同じおかずで同じ配置
「なんで~?」
千鶴が不思議そうに答えた
「それは朝に美緒と一緒に作ったからですよ」
日向の箸が止まった
「一緒に~?」
「はい」
日向がゆっくり私を見る
「どういうこと~?」
「あ」
そういえば説明してなかったっけ
「千鶴はお父さんの弟子なのよ」
「だから」
「うちに住んでるの」
日向がじーっと私を見る
なに?
その目
「聞いてないよ~」
「言ってなかった?」
「聞いてない~」
「ご、ごめん」
あれ
なんで私は謝ってるの?
日向が今度は千鶴を見る
「へ~」
「いいなぁ~」
「美緒とずっと一緒なんだ~」
なんだろう
言葉は普通なのに妙な圧を感じる
「弟子ってことは~」
「高梨の道場で稽古してるの~?」
千鶴が頷く
「はい」
「稽古をつけていただいています」
「へ~」
日向がちらっと私を見る
「ってことはさ~」
「美緒とも稽古してたりとか~?」
「いえ」
「私はまだ新参ですが」
「美緒はあまり道場には来られないと聞きました」
「そうなんだ~」
日向の顔が緩んだ
あ
機嫌がよくなった
「美緒って~」
「戦ってくれないもんね~」
「身持ちが固いってやつ~」
「あはは……」
暗に自分と戦えと言ってるわね……
すると千鶴が何気なく言った
「え?」
「私は戦いましたよ」
日向の動きがぴたりと止まった
「は?」
声が変わった
私の箸も止まった
まずい
なんかものすごくまずい
千鶴はそんな空気に気づかず
いつもの調子で続ける
「ですから」
「美緒とは立ち会いました」
「見事に負けてしまいましたが」
日向がゆっくり千鶴を見る
「いつ?」
「先週の月曜日でしたでしょうか」
千鶴が少し考える
「初めてお会いした日に」
「初めて会って?」
「すぐにしてくれたの?」
「はい」
「そうです」
日向がにこっと笑った
「あはははは」
笑い声が乾いてる
ものすごく乾いてる
嫌な予感しかしない
「ひ、日向?」
「千鶴とのはね」
「成り行きで仕方なく」
「この前ね~」
「ドラマ見たのよ~」
「へ?」
「ドラマ?」
今、その話する?
日向がにこにこしながら続ける
「ず~っと傍にいて~」
「ず~っと好きだった人がね~」
「う、うん」
「突然出てきた~」
「どこの馬の骨とも分からない女に~」
「目移りしちゃって~」
千鶴が小さく首を傾げる
「馬の骨?」
日向は笑ったまま続ける
「取られちゃうの~」
ぞくっ
背中が寒くなった
「私が先じゃ~んってなって~」
「本当はそういうのに興味がないんじゃなくて~」
「私はキープちゃんだったんだなってなって~」
「それでね~」
日向がお箸を置く
突然ハッキリとした口調になった
「主人公は」
「復讐の鬼になっちゃうの」
「違うからね!」
思わず叫んだ
日向が私を見る
「なにが~?」
口調が戻った
「事情があるの!」
「あれは!」
「別に遊びで戦ったんじゃないから!」
日向の笑顔がさらに深くなった
「へ~」
「じゃあ本気なんだ~」
しまった
言葉を間違えた!
ってか
私はなにを弁明しているの!?
「もっと悪いね~」
「えええええ!?」
なんで!?
「違う違う!」
「そういう意味じゃなくて!」
「じゃあどういう意味~?」
「えっと!」
本気じゃないって言ったら嘘
本気って言ったら怒る
どうすればいいのよ!?
私は千鶴を見る
助けて!
千鶴はそんな私の視線に気づいて
にこりと笑った
「日向」
「ご心配なく」
「美緒とは本気で戦いました」
「千鶴ぅぅぅぅ!」
「ちがあぁぁう!!」
なんで補強するのよ!?
日向が頬杖をついた
「ショックだな~」
「え?」
「私はさ~」
日向が私を見る
「求めて~」
「求めて~」
「何度お願いしても~」
「ず~っと無視されてきたのに~」
「千鶴とは~」
「その日のうちになんだ~」
「人聞き悪くない!?」
「普通は友達と本気で戦わないでしょ!?」
「でも~」
日向が今度は千鶴を見る
「この女とは~」
「やったんでしょ~」
「この女?」
千鶴の目がほんの少し細くなった
あ
今
なんかフラグが立った
日向が千鶴を上から下まで眺める
「この子の~」
「どこがよかったのかな~」
「清楚に見えるところとか~?」
「だからそういう話じゃないって!」
「だって~」
日向が首を傾げる
「こんなに弱そうなのに~」
あ
駄目
それは絶対に言っちゃ駄目なやつ
千鶴がにこりと笑った
「なるほど」
声はいつも通りにとても穏やかだ
なのに何故だろう
私はものすごく嫌な予感がした
「日向には」
「私が弱そうに見えるのですね」
「うん~」
「そうだよ~」
日向もにこにこ笑っている
「すっごくね~」
やめて
笑い合わないで
怖いから!
千鶴が静かに箸を置いた
「それでしたら」
お弁当箱の蓋を閉じる
目だけが全然笑ってない
「一度」
「確かめてみますか?」
来たあああああ!!
「ちょっと待って!」
日向の目が一気に輝いた
「いいの~?」
千鶴が笑顔を向ける
「もちろんです」
「美緒に相手にされず」
「色々と持て余しておられるご様子」
「可哀想ですから」
「遊んでさしあげますよ」
その笑顔が薄いものに変わった
「ただし……」
「後悔なさらないでくださいね」
日向が嬉しそうに身を乗り出す
「そうそう~」
「私って可哀想だよね~」
「私とはしたくないのに」
「千鶴とはしたなんてさ~」
またハッキリとした口調に変わった
「羨ましすぎて」
「やりすぎちゃいそう」
「それは奇遇ですね」
「私もやりすぎちゃうのが心配です」
「手加減して戦うなんて」
「やったことありませんから」
「へ~」
「へえ」
二人が笑顔で見つめ合う
やめて……その笑顔
さっきまでの仲良しの笑顔じゃない!
「ちょっと待って!」
私は二人の間に手を出した
「なんでこうなるの!?」
日向が笑う
「だって~」
「千鶴としてみたいし~」
「私もですよ」
千鶴も笑う
「日向に弱そうと言われたままでは」
「少しだけ」
「気になりますので」
「少しに見えないよ!?」
「二人とも強いじゃん!」
「私は知ってるから!」
「それでいいじゃない!」
「でも~」
「ですが」
二人が同時に私を見る
なに……その息の合い方
「やりたいよね~」
「はい、やりましょう」
「やっぱり千鶴とは気が合うかも~」
「そうですね」
「日向とは気が合うかもしれません」
そういうところで気を合わせないで!
「駄目だよ!」
「日向と千鶴が本気で戦ったら」
「どっちもただじゃすまないじゃん!」
私は机を叩いた
「絶対駄目!」
「友達同士で本気で戦うとか!」
「意味分かんないから!」
日向が不思議そうに首を傾げる
「美緒と千鶴はしたんでしょ~?」
「それは……」
「まだ友達じゃなかったから」
千鶴も静かに頷いた
「はい」
「美緒との戦いは忘れられません」
「今思い出しても」
「あの熱い戦いに胸がトキメキます」
「毎朝起きると」
「美緒の強力な一撃をうけた胸がうずいて」
「強い絆を感じるんです」
「そういう言い方やめて!」
余計に日向が怒るから!
案の定
日向がじーっと私を見る
「へ~」
「熱い戦いだったんだ~」
「違う!」
「いや違わないけど!」
「違うの!」
「どっち~?」
「私にも分からないのよ!」
なんなのよ!
この状況!
日向が千鶴を見る
「じゃあ~」
「放課後ね~」
「はい」
千鶴も笑顔で頷いた
「楽しみにしています」
「決めるなああああ!!」
教室中に私の声が響いた
今朝
私は思った
こいつら
放っておいたら絶対いつかやるって
私の考えは甘かった
いつかなんかじゃない
放っておかなくても
今日だった


